座席上のランプのご案内 ~デザインエラーによる混乱~
今日は少し違うネタを。エンジニアとして気になった点。
座席上のランプのご案内
品川・上野から日立・いわきを結ぶ、常磐線特急ひたち・ときわには、指定席の予約状況を示すために、座席上に以下の写真のようなランプがついているのである。
これ、非常にややこしくないか。
一言で言えば、埋まっている席が緑点灯なのである。
例えば、トイレを思い浮かべてみる。
トイレは使用中に赤になる。そして使用していないときは青である。
Occupiedが赤、Vacantが青である。
これが逆であるとどうなるか。非常な混乱が発生すること間違いなしである。
一方でこの常磐線特急の予約状況お知らせランプでは、予約されて埋まっている席が緑、予約の入っていない席は赤なのである。
この理由は、2パターン考えられる。
①緑の席に座ってください、という客に対するaffordから緑色とした説
まずは好意的な捉え方である。このように捉えると、予約している客にとって、座って良い=緑色、という捉え方ができる。
ただ、果たしてこれが直感的であるかと言われると、私は違うと思う。予約されている、すなわち埋まっている状態というのは、赤で示されるべきで、その予約は自分のためのものであることはチケットを見れば自明であることから、赤の席に座る事自体に大きな違和感はないはずだ。
②巡回する車掌の目線で決定した説
普通に考えると、これであろう。巡回する車掌としては、緑ランプの席に着席しているのは、予約通りに着席されていると推定されるため、スルーで良いのである。一方で赤いランプの席に着席されているときは、予約が取られていない=料金を徴収する必要がある、ということである。
しかしながら、このランプの重要なもう一つの役割として、”事前予約をしていない客が、指定席の埋まっていない席を見つけることができる”という意味を持っている。
この人間の立場になったとき、果たして緑ランプの席に座るべきか、赤ランプの席に座るべきか、一瞬混乱が発生するのである。
ユーザーが果たして誰か、という観点から、当然ながら車掌もこのランプのヘビーユーザーであることは間違いないが、やはり不特定多数の客をターゲットに色を決めるべきであろう。
不特定多数と、特定者の違い
この2つの大きな違いは、”教育ができるかどうか”である。
特定者には、教育ができるのである。
今回のケースで言えば、車掌に対しては、赤ランプが予約済みであるため、緑ランプに客が座っていたら話しかける必要がある、というSOPを教育すれば良い。
一方で、客側はそういった事前教育がないため、直感的に使用できる色を選択するべきである。
デザインエラー
このような、ユーザーの直感に反するようなデザインは、デザインエラーと言われる。
こういったデザインエラーをいかになくすかということは、エンジニアとして取り組むべき課題である。
この改修を実際に行う場合には、かなり時間と手間がかかることが想定される。だが、このデザインエラーは、放置するべきものではないと感じるが・・・