働き方改革の本質 その1 ~何が制約条件か~
巷で騒がれている働き方改革について。
2つの重要なキーワード
私が最近考えている2つの重要なキーワードは、”制約条件”と”アウトプット”である。
身の回りのあらゆること、仕事、人生など、すべてはこの制約条件とアウトプットによって説明できるのではないかと考えている。
特に”制約条件”という考え方が、働き方改革の本質に迫るキーワードになると筆者は考えているため、以下に説明する。
制約条件とはなにか
完璧なものを求めるのに必要なリソースは、無限大である。
すなわち、何かを完成させるためには、有限のリソースの中で形作る必要がある。
例えば、表面の凹凸がミクロの世界で見たとしても全く無いものを作ろうとしたら、工学的には無限大の時間を使って磨き上げる必要があるだろう。
しかしながら、当然実際に世の中に求められているものは、完璧な平滑ではなく、ある必要最低限の平滑があれば良い。この平滑にどこまでのリソースをかけることができるのか、という部分とのせめぎあいである。
普段の仕事を考えてみる
仕事のクオリティをあげようとすれば、必然的に”時間”というコストがかかる。このクオリティをどこまで上げる必要があるのか、というところは、重要なポイントだがあまり意識されずに働いているのではないかと思う。
もしくは、ゴリゴリの精神論で、時間をなるべくかけて、少しでもクオリティの高いものを作らなければならない、と考えているマネージャーも多いかもしれない。
対数的成長
以下のグラフは一般的な対数グラフである。
グラフの形が重要であり、切片の数字は何でも良いのだが、仕事へかける時間と成果の関係というのはだいたい以下のようなグラフが描けるだろうと考えている。
つまり、クオリティをあげようとすればするほど、時間がかかるのである。
もう少し言うと、クオリティが上がれば上がるほど、クオリティを上げるのにかかる時間が増えるのである。
何が制約条件か
昔は午前様で・・・というようなことは、20世紀のサラリーマンからはよく聞く話である。いや、今でもそのようにして働いている人は多くいる。
この人達にとって、制約条件は果たして無かったのか?
いや、そうではない。彼らも、今の僕らも、同じ24時間/日という制約条件の中で、同じ人間という同じような体力の生き物が、働いているのである。
すなわち、制約条件は昔もあったのである。
この制約条件を、どこに持ってくるのか、というだけである。
一日20時間働いていた人は、20時間という制約条件の中で仕事をし、クオリティを上げていたのである。
これが、例えば一日10時間になったら、成果が半分になるかというと、先程の対数グラフに示すように、これは明らかに違う。
また、人間が働いている以上、常に同じ能率で働くことはできない。時間が長くなればなるほど、効率も悪化するだろう。
つまり、働き方改革の本質というのは、何に制約条件を置いて働くのか、ということなのである。
まずはその1として、制約条件の考え方を本日は記載した。